「やっぱ来たか…はーい、もしもーし」
「…」
「用がねぇなら開けねーぞー」
「…」
「…ったく、しょうがねぇなぁ、開けっから入れよ」
「人んち入る身分なんだから一言くらいなんか言ったらどうなんだ?」
「どうせお母さんから連絡いってるんでしょ、てかオートロックやめてよ」
「進路で親と頻繁に喧嘩して突然押しかけるどこかの迷惑な妹対策だよ」
「…だから引っ越して欲しくなかったんだよ、家からも遠くなったし」
「ていうか…結構いい家住んでんじゃん」
「まぁちゃんと働いてるからな。お前は嫌がるかもしれないけど」
「別にそんなことないけど…」
「このランプとか懐かしいだろ。今は明るい家だから殆ど使わないけどさ」
「窓多い…角部屋?なの?」
「そうだよ。いいご身分だろ?」
「うん、ムカつく」
「毎日仕事で疲れた体を癒しれくれんだよ。お前もいい家のが嬉しいだろ」
「飯くらい出してやっから風呂でも入って来いよ」
「まぁ、そう言うなら借りようかな…」
「…よしよし、自慢の風呂を見せつけられるぞ」
「えっ、広…」
「あ、そうだ、おーい。浴室暖房あるから使えよなー」
「うっさい変態兄貴、入ってくんな」
「行ってねぇよ。終わったら今度は乾燥かけてな」
「わかったよ…お風呂すっご」
「お風呂ありがと…って、あれ?お兄ちゃんどこ?」
「おーい、こっちこっち」
「ん?…え、上あるの?」
「気づかなかったのかバカ妹。階段あるだろ、あがってこい」
「バカじゃないし…てかやっぱ、いい家住んでんじゃん」
「広いよな。ま、飯食おうぜ。お前の好きなカレーだし、お袋直伝の」
「…一言多い。いただきます」
「それで?お袋は美大反対って?」
「寝っ転がりながら聞くことじゃないでしょ。でも、その通り」
「好きなことで生きるってのはキツイからな、現に俺は諦めちまったし」
「お兄ちゃんはいい絵描いてたよ、私なんかより…今楽しいの」
「ビリヤードしながら聞くな。でも案外楽しいよ、こういう家に住めてさ」
「この眺めなんて…中々だろ?」
「それはそうだけど…」
「好きって増えたりもするんだよ。俺は今絵と同じくらいこの家が好きだ」
「…」
「お袋も心配なのさ。ただ..好きな物と生きると楽しいぜ、今の俺みたいに」
「だからまぁ、やってみたらいいんじゃねぇかな」
「…そっか。お兄ちゃんが言うなら、そうする」
「おうよ。…あとさ、お前その部屋着と態勢を変えるつもりはない?」
「ん-?私も新しい好きを見つけたんだよ、しばらくここに住むねー」
「いい家自慢が裏目に…はは、お袋になんて言うかな…」
賃料12.9万円 敷金1ヶ月 礼金1ヶ月
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