「付き合って何年かなぁ、高校からなんで…二人とも大人になりまして」
「私は昔から大人っぽかったけど、亮介がね~…子供っぽかったよね」
「そんなことないよ、最近は大人だよ」
「どうかなあ…てのはさておき、案内人さん、本日はお願いします」
「お、シューズボックス大きい。これなら沢山しまえそう」
「わー見て、なんか鍵がカッコイイよ!え、暗証番号なんですか?」
「それいいですね、番号何にしようか…あ、麻紀の誕生日にしよっか!」
「ね、案内人さん、子供っぽいでしょ?」
「うわ、部屋綺麗!だし壁とか床とか色がカッコイイ!」
「え~この壁可愛い~いい色」
「こんなとこで暮らせたら、幸せなんだろうな…」
「あ、やば、亮介の“アレ”始まっちゃう」
「こんな風にテーブル置いて、こんな風にイス置いて…」
「あはは…案内人さんにも見えます?この子の“妄想”が…」
「うん、いいな…いいお部屋だ…」
「何か考える時、すぐこうやって妄想するんですよ…」
「ん、麻紀なんか話してた?って、こっち来なよ、ロフトもすごいよ!」
「振り回されるなぁ…しかもやたら妄想が鮮明だし…」
「ここなら、こうかなぁ…」
「あぁ、また始まりました。笑」
「電気も窓もあるから、お部屋みたいな感覚で使えるんだなあ」
「独り言なのかこっちに話しかけてるのか…でも的は得てますよね。笑」
「うん、ここ使えるならかなりお得だ…」
「どうやらここに決めそうですね。あ、もちろん私も気に入ってますよ」
「いやぁいいお部屋だった、ね、麻紀!」
「途中から亮介ひとりで“視てた”けどね。でも、いいお部屋だね」
「あ、そうだ水回り見るの忘れてた!」
「確かに、まだ水回り…ん?水回り?…なんか嫌な予感がするな…」
「ここだったら…」
「わああ案内人さん見ないでください!これ以上は妄想と言えど!」
「一緒にお風呂入るから…」
「案内人さん、ここに住むんで決めたんで!亮介ほら妄想終了!帰るよ!」
「わあ、最後まで新生活想像したかったのにー案内人さんさよならー」
賃料11.3万円 敷金1ヶ月 礼金1ヶ月