「わぁ、前のお部屋と色合いが違いますね!こっちもいいなぁ」
相変わらず明るい人だ。『今日はお一人なんですね?』
「はい。動物達も小人達も森でお留守番させてます。私偉くないですか!」
『はいはい白雪姫様がお学びになった様で嬉しいですお部屋見ましょうね』
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「ここもいいお部屋ですね!キッチンも豪華だし…あと、広い!」
今日はスムーズに進みそうだ…『一番広いお部屋となっております』
「7人の小人と一緒に住むっていうのは…」
『相談させてください(多分ダメですよーだ)』
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『そういえば、白雪姫さんはお料理はされるんですか?』
「小人達が作ります!私は食べる担当です!」
…ここまで図々しいと名前とはいえ「姫」って言いたくないな…
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「本当水回り綺麗ですね」
そうでしょ、女の子的にはポイント高いでしょ…『自信を持っております』
「良いことです」
!?…このヒロイン様気質はどこまで…!!
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「ここも綺麗なフローリングですね」
落ち着けイライラしたら負けだ私…『免疫クロスと言いまして…』
「それはなんですか?」
話してたじゃん..!『花粉症などアレルギーを抑えてくれる優しいものです』
…そう言うと“白雪”は急に静かになった。
「…あの人みたい」
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『誰ですか?』
「あ、なんでもないです。続けてください」
いや続けてって…続けるけど…『こちらウレタン吹付工法と言いまして…
夏は涼しく、冬は暖かくしてくれますよ…って、聞いてます?』
「あの人もモフモフして暖かそうなのに、涼しかったんです…」
いや、ずっと何の話だ?『白雪さーん。おーい。戻ってきてくださーい』
「あ、物語から飛び出してきた時に出会った人です」
あぁ、あの優しくて静かでっていう、人?獣?みたいでっていう…ん?
…んぅ!?
『あの白雪さん、ちょっと待って頂いてよろしいですか?』
「はい?」
『次のお部屋見てていいんで!絶対帰らないでください!』
私だけが知ってる物語が、生まれようとしていた。
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賃料32.8万円 敷金1ヶ月 礼金1ヶ月
著 思い出の案内人