懐かしい…本物のレンガだ…
母のいる森にはだいぶ帰ってないので、この手触りの感じとか久々で…
故郷を思い出せて安心しますし、逆に憧れならワクワクするんでしょうね。
…あ、しっぽふりふりしてました?すいません、これ言うこと聞かなくて…
とにかく中!中入りましょう案内人さん!他の人にバレちゃうから!
わぁ、ここ天井こんな高いんですか!
お部屋もキレイだし、緑が見えるのもなんだか昔を思い出しますね…
母とよく、木漏れ日の中を走り回ったんです。
ここからは遠いですけど、このお部屋みたいに良い場所だったんですよ。
そうそう、お風呂代わりの湖に一緒に入って髪を流してもらいながら、
「今日の夜ご飯なぁに?」ってよく聞いてたなぁ…
でも、こんなにお風呂が広いとなんだか贅沢な気分になっちゃいますね。
…してません!ふりふり!…え、耳動いてました!?…もう、次行きましょ…
キッチンも大きい!あとこの下のスペース、使い勝手良さそう…
実は昔、母が森を出た時にご飯のおいしさに感動したらしく…
それで毎日そういうご飯を作るようになって、私はそれを食べて育って…
物心つく頃にはこの世界の料理が好きで、いつか住もう、と思ったんです。
…ただ妙に長くいて料理も覚えて…人と何かあったんだと私は睨んでます…
ロフトもあるんですね!どれどれ…っと。
(…危ない、四足で登ろうとしちゃった…)
…見てました?いや、速いんですよ!まだちょっと二本の足は下手ですけど…
え、けっこう広いですね!ほぼ部屋みたいな感じですかね?
夜とか姿戻せば何の心配もないですからね。
..あ、それは見せませんよ。決めた相手にしか見せないって決めてるんです。
人かどうかは…案内人さんには内緒です。
「狐の嫁入り」も、もうすぐですかね。
賃料12.0万円 敷金1ヶ月 礼金なし
著 思い出の案内人