大金持ちになっても、一人じゃなくなっても、離れたくない家がある。
去年の夏、大雨の中運命みたいにあなたと出会ったように、
そんな家に出会ってしまったらどうすればいいのだろう?
そんな家に出会ってしまってる僕はどうすればいいのだろう?
何もないと思っていた僕だけど、唯一、家だけはいいお部屋に住んでいた。
人生とは不思議なもので、いい家に住むといい風が流れるのかもしれない。
様々な縁に恵まれて、僕は少しのお金ととっても大切な人に出会えた。
懐かしい…きっと次に住む家のお風呂はもう少しだけ広いのだろうけど、
リノベーションも為され綺麗なこのお風呂が僕は好きだった。
当時伸ばしていた後ろ髪をひっぱりながら、よく鼻歌を歌ったものだった。
明るい。そこに思い出達が見えるからなのか、少しだけ目を細めてしまう。
当時の僕が輝いていた様に、今の僕も輝いているだろうか?
すると不意に、一枚の花弁が窓の外を散って舞った。
新しい季節の始まりだ。
始まるものもあれば終わるものもある。
それらに思いを馳せると、やっぱり、ちょっとだけ切ない。
けれど、それが悲しいことかどうなのかは「これから」が決めるものだ。
後ろ髪をひかれながら、それでも鼻歌を歌いながら、僕も進もう。
賃料6.4万円 敷金1ヶ月 礼金1ヶ月