綺麗なお部屋…窓が多くて明るいし、気分もよくなるし。
私、好きな人と暮らすならこんなお部屋がいいなぁ…
広いリビングで朝ごはん食べて、晴れた日はバルコニーから外を眺めて…
あとはあの人がいれば…
この空間落ち着く…クローゼットも大きいし、良いサイズのバルコニーまで…
僕、好きな人と暮らすならこんなお部屋がいいなぁ…
お茶しながら読書にふける昼下がり、なんてできたらすごくいいし…
あとはあの人がいれば…
「あ、あの時の!アダムさん!」
『あ…あの時の…えっと…』
「白雪です!すみません、名乗り忘れてて…でも、どうしてここに?」
『案内人の方に、いいお部屋なので見ててください、と言われて…』
「私もです!いいお部屋ですよね…でも、どうします、このまま見ます…?」
『えっ、あ…白雪姫さんがもし…よければ…』
「このお家、私的にはTVモニターとオートロックがポイントで…」
『いいですね…僕としてはお風呂が大きいのがうれしくて…』
「洗面所も、二人で使っても大丈夫そうな広さですよね」
『二人…?』
「…あ、えっとなんでもないです!知ってます!?このお家免疫クロスで…」
『アレルギー等を抑え、ウレタン吹付工法で夏は涼しく冬は暖かく…』
「そ、そうです…」
『それに床下炭やFFC活水器..広いし、確かに二人で住むには良いですね』
「…え?」
『白雪姫さん…実は、その…ひとつ言いたかったことがあるんですけど…』
「は、はい…なんでしょう…?」
『…水が綺麗ですね』
バルコニーで微笑む二人の後ろ姿を見て、私は、
「この二人にかけた呪いはといてあげよう」と思った。
かわりに素敵な魔法がこの部屋で見つかったみたいだし。
…元、とはいえ、魔女だった私も変わったもんだ…
休んじゃいられない。7人の小人と執事に戻った食器達の家も探さなきゃ…
賃料28.8万円 敷金1ヶ月 礼金1ヶ月
著 思い出の案内人